心の加齢は、生物学的な加齢とは一致しない。老化により心身機能は低下するが、それに応じたかたちで「ゆっくり、楽しく」といった変化が心に起きる。
このような価値観の変化の過程を「補償プロセス」という。社会からの老化に対する否定的な情報は、高齢者自身の老化に対する否定的なイメージに大きな影響を与える。
老年期は配偶者や友人との死別などの「喪失体験」が多くなることが特徴のひとつであり、そのような体験も老化に伴うマイナスイメージを助長する。
不安が大きくなると神経症となることもある。高齢者の神経症は、呼吸困難や動悸などの身体的な症状で現れることが多い。
高齢者の5%がうつ病になっているともいわれ、睡眠障害や食欲不振をはじめ、体のあちこちが痛いなどの身体症状を訴えることが多い。自殺者の3人に1人が60歳以上であり、自殺の動機の60%以上は健康問題に起因しており、うつ病との関連が見逃せない。
認知症など、脳の器質性疾患や脱水、栄養不全などの身体状況の不調、薬の副作用や心的ストレスなどによりせん妄となることが少なくない。
せん妄とは意識レベルが低下し、見当識障害や幻視、幻聴などが出現するもので、高齢者は、夜間にこのような症状が出現する夜間せん妄と呼ばれるものが多い。
高齢者精神病という病名はなく、高齢者の精神病を総称した呼び方である。
認知症のない高齢者において、幻覚や妄想などの精神病症状が認められる病態を総称して高齢者精神病と呼んでいる。
うつ症状などが要因となり、身体の機能低下や寝たきりなどが引き起こされる。
高齢者の精神疾患は、身体的異常、性格の偏り,環境、これまでの生活における問題や知的機能の低下などの様々な要因が絡んでいることが多い。
感覚器の機能低下や記憶力、学習力の低下、感情表現や性格の変化などが特徴的である。
若年者のうつ病は言動が少なくなるのに対し、高齢者は気力が湧かないといううつ感よりも、頭痛、肩こり、便秘、疲労感などの身体症状が前面に出ることが少なくない。