老年期は、加齢による心身の老化をきたす、衰退の時期ととらえられる。知能の発達は一般的に20歳前後で最高に達し、30歳以降から下降しはじめるといわれる。一方で、言語的豊かさなど成人期以降も発達を続ける面もある。また、結晶性知能といわれる過去の経験を適用して得られる判断力などは、むしろ老年期こそ発揮できるといえる。さらに「知恵」という特性は十分な人生経験にもとづいて発展してくる。
ウェクスラーは「知能とは目的にかなった行動をし、合理的に考え、環境からの働きかけに対して効果的に対処していく能力である」と定義している。
流動性知能と結晶性知能
レイモンド・キャッテルは、一般的な土台をなしている知能は2つのタイプがあると定義している。結晶性知能は、成人・老年期を通じて増加しつづける反面、流動性知能は、成人中期頃から衰退が始まり、その低下は個人差が大きいと知られている。
●流動性知能(動作性知能)
抽象的に考え推論する能力でありあらかじめ練習や教示がなくともものごとのあいだの関係性を見出す能力。
●結晶性知能(言語性知能)
過去の経験と学習された事実などからなり、年齢と共に蓄積されてゆく判断技能に相当する。